山林の維持費を抑える具体的な対策
- Ciel Corporation株式会社
- 9月24日
- 読了時間: 16分

▶︎1. 山林の維持費ってどれくらい?内訳と注意点を知っておこう

1.1 維持費の主な内訳を確認しよう
山林を所有していると、実際に活用していなくても意外とお金がかかります。 「使っていないから、費用はほとんどかからないのでは?」と思いがちですが、そうとも限りません。
山林の維持費には、大きく分けて以下のような項目があります。
固定資産税
境界や地積の調査・整備
間伐や下草刈りなどの管理作業
林道や進入路の整備費
法務・手続き関係の費用(名義変更や相続時など)
たとえば、年間の固定資産税は数千円〜数万円程度に見えるかもしれませんが、長年手を入れずに放置していると、草木の成長や倒木で境界が不明瞭になったり、道路がふさがれたりして管理コストが跳ね上がるケースもあります。
特に注意したいのが「間伐や整備作業」です。 軽トラックが通れる林道がなければ重機が入らず、人力での作業になってしまうことも。そうなると、作業費用が数十万円単位で膨らむ可能性もあります。
よくある失敗例として、次のようなことが挙げられます。
何年も放置して雑木林化し、伐採費用が高額になった
境界が不明確で測量費用が発生し、トラブルに発展した
法的な手続きが遅れ、相続税や登録免許税が加算された
こうした費用は突然必要になることが多く、「いざというときに備えて維持費の全体像を把握しておくこと」がとても大切です。
まずは所有している山林の面積や場所、管理状態を確認して、年間の維持費がどのくらいかかっているか把握しておくと安心です。
1.2 山林を所有するだけで発生する費用とは
山林は「使わなければお金がかからない」というイメージを持たれがちですが、実際には所有しているだけで費用が発生します。
主にかかってくるのは以下のような費用です。
固定資産税
所有している土地に対して課税される税金です。市街地と比べて評価額は低めですが、毎年必ずかかります。数千円〜数万円が一般的です。
名義変更や相続手続きの費用
相続や売却時には登記費用や登録免許税が発生します。司法書士や行政書士への依頼費も見込んでおきましょう。
境界確定や測量費用
境界が不明確なまま放置しておくと、後から隣地とのトラブルになるリスクがあります。測量を行うと、一回で20〜50万円程度かかることもあります。
草刈り・伐採などの管理コスト
特に傾斜地や重機の入れない場所では人手に頼る必要があり、費用が高くなりがちです。
これらは「利用するかどうか」とは無関係に、所有している限り避けられない支出です。 また、森林が荒れてしまうと、近隣への倒木や土砂崩れのリスクもあり、責任を問われるケースも出てきます。
「使っていないから大丈夫」と思って何年も放置してしまうと、かえって将来的に高額な出費を招くこともあります。
たとえばこんな場面を想像してください。 何十年も前に相続で受け継いだ山林。普段は訪れることもないけれど、ある日、隣地の所有者から「木が倒れてきた」と連絡が…。そんなとき、修繕費や撤去費用を全額負担することになるかもしれません。
山林の所有には責任が伴います。定期的な確認と最低限の整備は、将来のリスク回避にもつながります。
▶︎2. 山林維持費が思ったより高くなる理由とよくある失敗例

2.1 アクセスの悪さが招く余計な出費
山林を所有していると、意外なコストとして浮上するのが「アクセスの悪さによる出費」です。 実際、山林の場所によっては管理に行くだけでも手間とお金がかかることが多いです。
たとえば…
公道から遠く、徒歩でしかたどり着けない
林道が整備されておらず、車両の進入が不可能
冬場は雪に閉ざされ、半年以上アクセスできない
こうした立地の山林を管理しようとすると、以下のような余計な費用や時間が発生します。
重機や人員の運搬費が割高になる(1回の作業で数万円〜十数万円)
作業員の移動時間が長くなることで人件費が増加
作業日数が伸びて、管理費用が全体的に高くなる
さらに、山奥の山林ではスマホの電波が届かない場所も多く、現地でのトラブル対応が遅れることもあります。 こうしたことが積み重なると、同じ面積でもアクセスが悪いだけで維持費が2〜3倍になるケースもあるのです。
よくある失敗例を見てみましょう。
整備作業を依頼しようとしたら、進入路がなく断られてしまった
徒歩30分以上かかる山林で、管理を年1回にしていたら、倒木で作業が難航した
高所作業車や伐採機材が使えず、人力対応になってしまい、作業費が倍以上かかった
アクセス条件は、山林の維持費に直結する重要なポイントです。 購入や相続の際は、必ず「車両で入れるか」「舗装されているか」などを確認しましょう。
管理を楽にするために、林道の簡易整備(砂利を入れる・草刈りをする)を行うだけでも、将来的な維持費をぐっと抑えられることがあります。
2.2 制度や法規制を知らないまま所有すると大変
山林を所有する際、見落としがちなのが「関連する制度や法規制」の存在です。 知らずに放置していたり、必要な手続きをしていなかったりすると、余計な費用や法的リスクを背負うことになります。
代表的なものには以下のような制度があります。
森林法による届出義務(伐採・開発・譲渡などの際)
林地台帳への登録義務
所有者不明土地問題に関連する制度
市町村ごとの条例(災害対策・景観保全など)
たとえば、所有する山林を一部伐採しようとした場合、地域によっては事前に「伐採届」を提出しなければならないケースがあります。これを怠ると、行政指導や罰則の対象になることもあります。
よくある失敗例を紹介します。
伐採前の届出を忘れ、役所から指導を受けた
他人に貸していた山林で無断伐採があり、トラブルに発展した
名義変更をせずに放置した結果、相続登記の義務化で手続きが複雑に
2024年以降、相続登記の義務化が本格施行されており、今後は「知らなかった」では済まされない場面が増えています。相続から10年以内に登記を行わないと、過料(罰金)の対象になることも。
また、市町村によっては山林の景観や防災目的での条例を独自に定めており、「勝手に作業できない」「特定の期間は伐採禁止」などの規制があることも珍しくありません。
制度や法律を知らないまま所有してしまうと、「管理するための費用」とは別に「ペナルティ」や「是正費用」が発生する可能性があるんです。
特に相続や購入のタイミングでは、次のような行動が大事です。
地元自治体の森林担当窓口に相談する
所有山林がどんな法的区分にあるかを確認する(保安林・普通林など)
名義変更や登記の手続きを漏れなく行う
ちょっとした確認を怠ることで、後々大きなコストやトラブルになるリスクも。 山林を守る第一歩は、制度を正しく理解しておくことです。
2.3 放置してしまった山林がトラブルを招く
「使っていないから、そのままでも問題ない」と思って放置された山林。 しかし実際には、管理されていない山林ほど、思わぬトラブルの原因になりやすいです。
山林を長期間放置することで、次のようなリスクが高まります。
倒木や落枝による近隣トラブル
不法投棄や不法侵入などの治安リスク
境界の不明確化による土地トラブル
下草の繁茂や枯葉の蓄積による火災リスク
土砂崩れや崖崩れといった自然災害の誘発
たとえば、知らない間に木が道路側に倒れて通行を妨げていた場合、所有者が損害賠償を請求される可能性もあります。
実際に起こりがちな失敗例はこちらです。
定期的な下草刈りを怠り、夏場に野火の危険が高まった
他人に土地を使われていたことに気づかず、境界争いに発展
登山者の立ち入りによる事故が起き、所有者として責任を問われた
これらのトラブルに共通するのは、「所有しているだけで責任がある」ということです。 山林は“見えない管理責任”が常に発生している資産だという意識が必要です。
また、放置された山林は行政にも問題視されやすく、最近では「所有者不明土地」として調査や対応の対象になりつつあります。管理が行き届かないと、地域の防災・治安・景観の観点からもマイナス評価となり、活用や売却にも不利に働きます。
「使っていない=費用がかからない」ではなく、「使っていなくても管理が必要」だという点をしっかり認識しておくことが大切です。
年に1回でも現地確認や簡単な整備を行うだけで、こうしたリスクは大きく減らせます。
▶︎3. 山林の維持費を抑えるために今すぐできる具体的な対策

3.1 補助金や助成制度を活用する
山林の維持費を少しでも抑えたいなら、国や自治体が実施している補助金・助成制度の活用は外せません。 うまく利用すれば、数万円〜数十万円の支援が受けられることもあります。
代表的な補助制度には次のようなものがあります。
森林整備事業補助金(間伐・伐採・下草刈りなどに対して)
森林環境税・森林環境譲与税を活用した支援制度
地域森林整備計画に基づく補助金
自治体独自の山林保全・防災対策補助
たとえば、間伐を行う場合、地域によっては1haあたり数万円の助成金が支給されることがあります。 また、道路整備や獣害対策、防火帯設置などに対する補助も充実しています。
こうした制度を活用すれば、通常なら自費で行うはずの整備費用が大幅に軽減されます。 「やりたいけど費用が高くて無理」と思っていた作業も、補助があれば実現できる可能性が高まります。
ただし、注意点もあります。
申請のタイミングや書類が厳密に決められている
事前申請が必要で、作業後の申請は対象外になることが多い
補助率(自己負担割合)は制度によって異なるため、全額補助とは限らない
また、手続きには山林の位置情報や整備計画の詳細、写真などが求められることも。申請書類に不備があると受理されず、せっかくの制度が利用できないこともあります。
補助金や助成制度は「知らないと損する」典型例です。 まずは、お住まいの市町村や都道府県の森林・林業担当課に問い合わせてみるのがおすすめです。
最近では、自治体のホームページに制度内容が公開されている場合も増えてきています。定期的に情報をチェックすることで、タイミングを逃さず申請ができます。
3.2 専門業者や森林組合に管理を委託する
山林の維持を個人で行うのは、正直かなり大変です。 草刈りや間伐、境界確認、法的な手続きなど、専門知識と労力が求められる作業が多いため、無理に自分だけで抱え込むと逆に非効率です。
そんなとき頼りになるのが、森林組合や山林専門の管理業者です。彼らは山林管理のプロフェッショナル。地域の森林環境や地形・気候を熟知しており、効率よく作業を行うノウハウを持っています。
委託によって得られる主なメリットはこちらです。
定期的な管理スケジュールを立ててくれる
安全面や法令遵守を考慮した作業を実施
現地に行かずに状況を報告してもらえる
補助金や助成金の申請も代行してくれることがある
たとえば、年1回の下草刈りを依頼した場合、面積やアクセス条件によっては3万円〜10万円程度で済むことが多く、自分で行うより安全かつ確実です。特に高齢の方や遠方に住んでいる方には心強い存在です。
ただし、委託する際には注意しておきたいポイントもあります。
価格だけで選ぶと、作業の質にばらつきが出ることがある
契約内容に作業頻度や範囲が明記されていないと、後からトラブルになる
対応している地域が限られている業者もある
契約前には、必ず複数の業者に見積もりを取り、作業内容や費用の内訳をしっかり確認しておきましょう。写真付きの報告書を提出してくれるかどうかも重要なチェックポイントです。
専門業者や森林組合に任せることで、維持費を「コントロール可能な出費」にできるのが大きな利点です。 不確実なトラブル対応より、計画的な管理でコストを安定させるほうが、長期的には大きな節約につながります。
3.3 山林を収益化して維持費に充てる方法も
「維持費を減らす」だけでなく、「収入を得て維持費に充てる」という考え方もあります。 山林は使い方次第で、収益を生み出す資産にもなり得ます。
活用方法はさまざまですが、代表的な収益化の方法はこちらです。
間伐材や薪の販売
企業や個人向けのレジャー施設として貸し出す
ドローン練習場やキャンプ場への転用
林業体験・自然体験イベントなどのフィールド提供
再生可能エネルギー施設用地としての活用
たとえば、間伐材をチップや薪として出荷すれば、1立方メートルあたり数千円〜1万円前後の収益になることもあります。木の種類や質にもよりますが、まとまった量があれば十分維持費の足しになります。
また、最近注目されているのが「キャンプ場や野営場」としての貸し出しです。初期整備さえ行えば、月に数組の利用でも年間数万円〜十数万円の収入が見込めます。
実際には、以下のような失敗も起こりがちです。
無許可で施設を設けてしまい、行政から指導を受けた
山林に車が入れず、利用者が集まらなかった
管理不十分で事故が起き、責任問題になった
収益化を目指すなら、安全対策や法令順守が絶対条件です。 自治体によっては観光や地域振興を目的に、森林活用のための補助制度や相談窓口を設けているところもあります。
また、プロに相談することで、現実的な収益化プランを提案してもらえることもあります。 思いつきで動くより、長期的に利益を出す仕組みを作ることが大切です。
山林を維持費がかかるだけの“負担”から、“収益を生む資産”へと転換できれば、モチベーションも維持費も大きく変わってきます。
▶︎4. 税金や保険を見直して、山林の維持コストをもっと軽くする方法
4.1 固定資産税や相続税を軽減できる制度とは
山林を所有していると、固定資産税や相続税といった税負担が毎年発生します。ですが、正しい制度を使えばこれらを軽減することが可能です。
活用できる主な制度
【固定資産税】
山林の評価額は低く、宅地より税負担が軽め
【相続税】
山林は「純山林」「保安林」など区分によって評価減が可能
【広大な山林】
地積規模の大きな宅地に準じた評価で軽減できる場合あり
【納税猶予制度】
農業用地などと同様に条件次第で一時的に納税を猶予できる
注意点はこちら
相続税評価は専門家の査定が必要になる場合あり
保安林や特定用途山林は特例対象になることも
制度の内容は地域や年によって変更されることがある
税金の負担を減らすには、事前の確認と早めの準備がカギです。
4.2 自然災害への備えに保険は有効?
台風や豪雨、土砂崩れなど、山林は自然災害のリスクと常に隣り合わせです。損害が発生したときに備えて、山林向けの保険に加入しておくのは有効な対策です。
加入を検討したい保険の種類
山林専用の火災保険(森林火災・落雷などに対応)
賠償責任保険(倒木や土砂流出で第三者に被害が出た場合に補償)
施設所有(または土地所有)者の損害保険
自治体や森林組合による共済制度
保険加入時の注意点
市販の火災保険では山林が対象外になることがある
契約内容に「第三者被害」が含まれているか確認必須
地域やリスクに応じた保険商品を選ぶことが大切
保険をかけることで、万が一の出費リスクを大きく抑えることができます。
4.3 法令・条例の確認と専門家への相談が重要
山林の管理や活用を行う際には、国の法律だけでなく、地域ごとの条例にも注意が必要です。知らずに違反してしまうと、罰則や是正費用が発生する可能性があります。
確認すべき主な法令・制度
森林法(伐採届出・保安林の制限など)
都道府県や市町村の森林保全条例
開発・造成行為に関する都市計画法・土砂災害防止法
2024年以降の相続登記義務化(未登記の放置に過料)
専門家に相談するメリット
制度の解釈を正しく理解できる
各種届出や申請をスムーズに進められる
補助金や助成制度の情報も得られる
管理や売却、活用を検討する際には、必ず自治体や専門家に事前相談をすることが重要です。
▶︎5. 山林維持の悩みを解決するなら、不動産と農業の専門サポートを活用しよう
5.1 山林の売却や活用も視野に入れるなら不動産の専門サポートを
山林の維持が難しい、費用負担が重いと感じるなら、「売却」や「利活用」を視野に入れる
ことも有効な選択肢です。その際に役立つのが、不動産に強い専門サポートです。
不動産サポートでできること
山林の無料査定と市場価値の確認
売却手続き(契約〜登記)の全面サポート
売れにくい山林の買い取りや仲介提案
活用方法の相談(農地転用・資産運用など)
サポートを利用するメリット
手続きがスピーディかつ確実に進む
全国対応なら遠方の山林も相談しやすい
売却後のトラブル防止にもつながる
山林を「負担」から「手放す・活かす」選択肢に変えたいなら、不動産の専門家に相談するのが安心です。
5.2 農地としての活用や経営視点の提案ができるコンサルティング
山林の一部を農地や別の用途に転用して有効活用するという選択もあります。そうした判断や手続きを進めるには、農業や土地活用に強いコンサルタントの支援が役立ちます。
コンサルティングで受けられる主な支援
山林や周辺土地の活用プラン提案(農地転用・体験施設など)
経営視点での収益化アドバイス(作物選定・販路相談など)
農業法人や個人事業としてのスタート支援
相続や税務の相談も一括対応
コンサルを活用するメリット
初めての農地活用でも安心して進められる
販路・設備・人手の課題まで相談できる
長期的な運用計画を立てられる
山林の一部を「使える土地」に変えることで、維持費以上の価値を引き出せる可能性も広がります。
▶︎6. まとめ
6.1 今後の方針を明確にして無駄な出費を防ぐ
山林の維持費対策で重要なのは、「何となく所有する」状態を避けることです。将来的にどうするのか方針が曖昧だと、維持費だけが毎年積み重なっていくリスクがあります。
明確にしておきたいポイント
売却か保有か、今後の所有方針を決める
管理を続ける場合、年単位の整備計画を立てる
活用の可能性や収益化の見込みを一度検討する
相続人への引き継ぎ方法や名義の整理も重要
方針未定で放置すると起こるリスク
維持費・税金の支払いが続く
管理が不十分になり、トラブルの原因に
相続時の手続きや費用が複雑化
「どうするか決めていない状態」が一番お金と手間を生みやすくなるので、早めに方向性を定めておくことが大切です。
6.2 山林を“負動産”にしないために大切なこと
維持費ばかりかかって活用できない山林は、いわゆる“負動産”と呼ばれる状態に陥りがちです。そうならないためには、所有する山林を「見える化」し、主体的に関わることが大切です。
負動産になりやすい山林の特徴
場所や境界が不明確で管理が困難
法的な手続き(登記や届出)が未対応
活用や売却の見込みが立たないまま放置
所有者が高齢、または遠方で関与が難しい
“資産”として活かすための対策
定期的な現地確認と基本的な整備を続ける
専門家に相談し、状況を正確に把握する
必要であれば売却や譲渡も検討する
「使わない=無価値」ではありません。手をかけることで、山林は価値ある土地として再生できます。
▶︎山林の売却や活用ならCiel Corporation株式会社にお任せください
「使い道がない山林を手放したい」「管理コストを減らしたい」と感じたら、専門家への相談が早道です。Ciel Corporation株式会社では全国対応で山林の査定・売却サポートを行っています。
不動産の無料相談は、Ciel Corporation株式会社公式サイトからどうぞ。








コメント