農地売却の流れを徹底解説|必要な手続きと注意点まとめ
- Ciel Corporation株式会社
- 5 日前
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▶︎1. 農地売却の基本知識と手続きの流れ

1.1 農地売却の基本知識
農地を売却するには、宅地や空き地の売却とは違う、特別なルールや手続きがあります。 なぜなら、農地は農地法という法律で厳しく管理されていて、勝手に売ったり使い道を変えたりできないからです。
そもそも農地とは、田んぼや畑のように農業を行うために使われている土地のこと。 農地として登録されている限り、売るにも買うにも許可が必要です。
特に注意したいのが次の3点です。
売却には農業委員会など行政の許可が必要
買主が農業を継続する意思と能力を持っている必要がある
農地の種類や所在地によって手続きが異なる
このように、売りたいと思ってすぐに売れるものではありません。
たとえば、所有している農地が市街地に近い場所であっても、地目が「田」「畑」などのままだと、すぐに住宅地として売り出すことはできません。 まずは農地としての性質を確認し、必要な許可を取得する準備が大切です。
また、農地には「農業振興地域内農地」「第2種農地」「第3種農地」など、場所によって分類があり、それによって手続きの内容や難易度も違ってきます。
こんな失敗が多いです。
手続きを知らずに売却を進めてしまう
買主が農業従事者でないため許可が下りない
農地のままでは売却が難しいことに後で気づく
どれも、事前に情報を集めておけば避けられるミスです。
農地を売却するなら、まず「農地であることの制限」を正しく理解することがとても大事です。
忙しい毎日の中で、こうした確認を一人で進めるのは大変ですよね。 だからこそ、次のステップで流れを把握し、スムーズに進めるためのポイントを押さえていきましょう。
1.2 農地売却の手続きの流れ
農地を売却するには、一般的な不動産取引とは異なるステップを踏む必要があります。 そのため、流れをしっかり把握しておくことがスムーズな売却の第一歩です。
農地売却の基本的な手続きの流れは以下のとおりです。
農地売却の主な流れ
農地の現状確認(地目・登記)
農業委員会への相談・申請準備
売却条件の整理(価格、相手先など)
農地法に基づく許可申請(3条・5条など)
許可取得後の契約・引渡し
登記手続きと税金の申告
このように、行政手続きがいくつも含まれているため、一般的な土地売買に比べて時間がかかる傾向があります。 通常でも2~3ヶ月、場合によっては半年以上かかるケースもあります。
特に次のような場面で手続きの流れが停滞しがちです。
農地の登記情報と実態が合っていない
農地法のどの条文に該当するか判断できない
申請書類が不備で差し戻される
たとえば、地目が「田」でも、すでに耕作されていない場合などは、申請内容の整合性が求められます。 また、買主が農業者かどうか、売却後に何に使うかによって、申請する農地法の条文(3条・4条・5条など)が異なります。
スムーズに進めるためのコツは、次のような点にあります。
最初に農業委員会に相談してアドバイスをもらうこと
所有している農地の現況を正確に把握する
買主の条件や使用目的を事前に整理する
農地売却の手続きを進めるときは、「許可が必要なポイント」を押さえて計画的に動くのがカギです。
たとえば、売却先が決まっていても、許可が下りなければ契約は成立しません。 忙しいなかで何度も書類をやり直すのは大きな負担になります。
▶︎2. 農地のまま売却する方法

2.1 農地のまま売却する際の手続き
農地をそのままの状態で売却する場合には、「農地法第3条」に基づく許可が必要です。 この条文は、農地として利用し続けることを前提に、所有者を変えるときに適用されます。
つまり、買主が農業を続ける意思と体制を持っていないと、基本的に許可は下りません。
以下が、農地のまま売却するときの基本的な手続きの流れです。
農地のまま売却する手続きの流れ(農地法第3条)
買主と条件の合意(農業の継続意志確認)
必要書類の準備(登記簿謄本、位置図、耕作証明など)
市町村の農業委員会に許可申請
審査・許可(約1ヶ月〜1.5ヶ月)
売買契約・所有権移転登記
この流れの中で、特に重要なのが「買主が農地を農地として活用できる条件を満たしているかどうか」です。
農業委員会の許可を得るためには、買主が次のような要件を満たしている必要があります。
原則、農業従事者であること(農業経験や経営体としての体制)
買収後も継続して耕作する意思があること
一定面積以上の農地を所有すること(地域により基準あり)
こんな失敗が多いです。
買主が農業未経験者で許可が下りない
必要書類が足りず申請が遅れる
自治体ごとのルールを確認していない
特に、3番目は見落としがち。 たとえば同じ県内でも市町村によって申請窓口や審査基準が異なることがあります。 許可のスケジュールや提出書類も変わるので、事前に農業委員会に確認するのが安心です。
農地のまま売却するなら、「買主の条件」と「手続きの正確さ」が成功のカギになります。
スムーズに許可が下りると、農地としての売却が進みやすくなり、全体の流れも短縮できます。
2.2 農地のまま売却する際の注意点
農地のまま売却する方法は、農地法第3条の許可を得られれば比較的シンプルです。 ですが、実際には多くの落とし穴があり、スムーズに進まないケースが少なくありません。
ここでは、農地をそのまま売却する際に注意すべきポイントを紹介します。
よくある注意点とその対策
買主が農業の要件を満たしていない
農業の経験がなかったり、一定面積の農地を所有していなかったりすると、許可が下りません。
→ 事前に農業委員会へ買主の要件を確認してから話を進めましょう。
農地が耕作放棄地になっている
長年耕作していないと、農業継続の実態が認められにくく、許可のハードルが上がります。
→ 草刈りや整地など最低限の管理をしておくのがポイントです。
隣接地との境界が不明確
筆界(登記上の境界)があいまいだと、買主が敬遠する傾向があります。
→ 境界確定や測量を済ませておくと安心です。
市町村によって手続きや基準が異なる
提出書類の種類や審査基準が自治体ごとに違うため、ネットの情報だけでは不十分です。
→ 必ず地元の農業委員会に直接確認を。
農業委員会の審査に時間がかかる
月1回の審査会に合わせたスケジュール調整が必要になります。
→ 売却の目標時期から逆算して、早めの準備を。
たとえば、境界確認を後回しにしたことで、隣地所有者とトラブルになり、売却まで半年以上かかった例もあります。 境界は一度こじれると解決に時間がかかるため、最初の段階で手を打つのが大事です。
農地のまま売却する場合、事前の準備と地元のルールの把握が成功のカギになります。
朝早くに農業委員会に行ったり、書類を揃えるために何度も足を運ぶのは負担ですが、ここをしっかり押さえておけば、後の手間やトラブルを大きく減らせます。
▶︎3. 農地転用して売却する方法

3.1 農地転用の基本知識
農地をそのままではなく、宅地や駐車場など別の用途に変えてから売却する方法もあります。 これを「農地転用」といい、農地法第4条または第5条に基づいて許可を得る必要があります。
農地転用が適用されるのは次のようなケースです。
所有者自身が農地を別の用途に変える(第4条)
農地を第三者に売却し、その第三者が転用する(第5条)
どちらも「農地を農地以外に変える」ことには変わりありませんが、申請者や目的によって適用される条文が異なるので注意が必要です。
農地転用の主なメリット
非農地になることで購入希望者の幅が広がる
一般の住宅用地や事業用地として高値で売れる可能性がある
手続き後は農業者でなくても買主になれる
このように、転用によって売却のハードルがぐっと下がります。
ただし、次のような注意点もあります。
転用できる農地には条件がある(市街化区域・農業振興地域外など)
土地改良区の同意が必要になる場合もある
転用には時間と費用がかかる(申請準備、測量、開発許可など)
たとえば、農業振興地域内の農地は原則として転用ができません。 転用したい場合は、まず振興地域からの除外申請を出し、審査を受ける必要があります。
こんな失敗が多いです。
転用不可の農地に無理に手続きを進めてしまう
法的な許可を受けずに造成工事を始めてしまう
申請の書類不備や要件不足で審査が通らない
農地転用は、土地の条件や法律的な判断が非常に重要になります。
そのため、自己判断で進めるのは避け、必ず専門家や行政に確認をとってから動くのが安心です。 忙しい中でも、ここをしっかり押さえることで、後戻りのないスムーズな売却につながります。
3.2 農地転用の手続きの流れ
農地を宅地や駐車場、店舗用地などに転用して売却するには、農地法の許可に加えて都市計画や開発行為の手続きも必要になる場合があります。
手続きの流れは、農地の場所(市街化区域か、調整区域か)、転用目的、面積などによって大きく変わりますが、基本的なステップは以下の通りです。
農地転用の基本的な手続きの流れ
土地の調査(農業振興地域かどうか、市街化区域かなど)
転用の可否を行政窓口で確認(市町村・県など)
関係機関との事前相談(土地改良区や農業委員会など)
必要な図面・書類を準備
農地法4条または5条の許可申請
開発許可・造成計画の審査(必要な場合)
許可取得後、土地造成・売買契約・登記
この一連の流れには、数ヶ月~半年以上かかることが一般的です。 なぜなら、農地としての性質を失わせるには、行政側も慎重な審査を行うからです。
たとえば、土地が農業振興地域内に含まれている場合、まずは「除外申請」を出して、その認定を待つ必要があります。 ここだけでも2〜3ヶ月かかることが多く、申請が年に数回しかできない自治体もあります。
こんな失敗が多いです。
市街化調整区域で転用許可が下りない
土地改良区から同意が得られず手続きが止まる
書類の準備不足で申請が差し戻される
対策としては、次のようなことが挙げられます。
最初に「都市計画図」や「農業振興地域指定図」で土地の位置を確認
関係機関に事前相談し、必要書類のリストを整理
スケジュールに余裕を持って手続きを進める
農地転用の手続きは複雑ですが、順を追って準備すれば確実に前に進めます。
特に、複数の行政機関(市、県、土地改良区など)とやり取りが発生するため、時間と労力の見積もりが大切です。 不備を防ぐためには、申請サポートができる専門家に早めに相談するのも効果的です。
3.3 農地転用の注意点
農地を転用してから売却する方法は、売却先の選択肢が広がり、高く売れる可能性もある反面、手続きが複雑で時間もかかりがちです。 事前準備を怠ると、想定以上に時間や費用がかかることもあります。
ここでは、農地転用時にありがちな注意点を紹介します。
農地転用の注意点と対策
農業振興地域内にある農地は原則転用不可
農業の保護を目的に、農業振興地域内の農地は転用が制限されています。
→ どうしても転用したい場合は、まず除外申請が必要で、これに数ヶ月かかります。
土地改良区の同意が必要な場合がある
用水路や農道が関わっている農地では、土地改良区の事前同意が求められます。
→ 無断で申請しても認められないことがあるので、事前確認が必須です。
農業委員会だけでなく都市計画法や開発許可も関係する
特に広い面積を転用する場合、開発許可が必要になり、都市計画法の手続きも絡んできます。
→ どの法律が関係するかを最初に整理することで、後戻りを防げます。
手続きに想像以上の時間がかかる
転用の可否確認から許可取得、造成までを含めると、半年〜1年かかるケースもあります。
→ 売却時期が決まっている場合は、スケジュールを逆算して行動するのが大事です。
転用費用が想定より高額になることも
測量、書類作成、行政への申請費、造成工事費などが発生します。
→ 相見積もりを取り、費用とスケジュールをしっかり管理しましょう。
たとえば、造成を業者に依頼したところ、想定の2倍近い費用が発生したというケースもあります。 そのため、転用の計画段階で「どこまでが自費で、どこからが買主負担か」を明確にしておくことが大切です。
農地転用は、法律・費用・スケジュールの3点で慎重な計画が必要なプロセスです。
忙しい毎日の中でこれを一人で進めるのは大変です。 だからこそ、早めに専門家や自治体に相談しながら、手続きを前向きに進めていきましょう。
▶︎4. 農地売却にかかる費用と税金
4.1 農地売却にかかる費用
農地を売却するときには、手続きや準備の段階でさまざまな費用がかかります。 これらは宅地など一般的な土地売買と比べると、事前にかかるコストが多く、内容も複雑です。
特に以下のような費用が発生しやすいので、あらかじめ把握しておくことが大切です。
農地売却で発生する主な費用
測量費用
隣地との境界があいまいな場合、境界確定のために測量が必要です。これは売買の信頼性にも関わるため、多くのケースで発生します。
登記関連費用
売却の際に名義変更を行うため、所有権移転登記や、必要であれば抵当権抹消登記も行います。司法書士などの専門家に依頼することが一般的です。
農地法の許可申請にかかる費用
農地のまま売る場合でも、転用する場合でも、農地法に基づいた許可が必要になります。申請書類の作成や手数料がかかることがあります。
不動産仲介手数料
不動産会社に売却を依頼する場合は、仲介手数料が発生します。売買契約成立時に支払うのが一般的です。
書類作成や手続き代行の費用
行政への申請や書類の準備を専門家に依頼した場合、その分の報酬が必要になります。
こんな失敗が多いです。
測量や登記の手間を後回しにして売却時に急ぎで対応することに
必要な申請の存在に気づかず、後から追加費用がかかる
仲介業者や専門家に依頼した費用を含めず、最終的な収支が合わない
特に注意したいのは、費用が発生するタイミングです。 売却益が手元に入る前に出費が必要になることもあるため、計画的な資金準備が求められます。
たとえば、農地の名義が故人のままだと相続登記が必要になりますが、この作業も早めに進めておかないと、売却自体がストップしてしまいます。
農地売却をスムーズに進めるには、事前に必要な費用の項目と流れをしっかり把握しておくことが大事です。
4.2 農地売却にかかる税金
農地を売却すると、利益が出た場合は税金が発生します。 特に所得税・住民税・場合によっては消費税も関係してくるため、事前に理解しておくことが大切です。
主な税金は以下の通りです。
譲渡所得税・住民税
売却益が出た場合に課税。所有期間により税率が異なります(短期・長期)。
登録免許税
登記時に発生。固定資産税評価額などに応じて変動します。
印紙税
売買契約書の金額に応じて課税。契約書1通ごとに必要です。
こんな注意点もあります。
一定条件を満たすと特例や控除が適用される場合があります(例:3,000万円控除など)。
所有期間が短いと税率が高くなる傾向があります。
税金は売却後にまとめてかかるため、利益の全額が手元に残るわけではありません。
4.3 節税対策と注意点
農地を売却した際の税負担は大きくなることがありますが、事前に節税対策を把握しておくことで手取りを増やすことが可能です。
代表的な節税対策はこちらです。
3,000万円特別控除の活用
一定の条件を満たすと、譲渡所得から控除が可能です(自宅敷地に隣接する農地など)。
所有期間に応じた税率の違いを意識
5年を超えて保有していれば長期譲渡所得となり、税率が低くなります。
必要経費をしっかり計上
測量費や仲介手数料、登記費用などは譲渡費用として計上できます。
注意点もあります。
申告漏れや控除ミスに要注意
節税できるのに活用されていないケースも多いため、税理士に相談するのがおすすめです。
節税のコツは、売却前からの準備と適切な申告に尽きます。
▶︎5. 農地売却の手続きでよくある疑問と対処法
5.1 農地売却の流れでつまずきやすいポイント
農地の売却は、一般的な不動産よりも手続きが多く、つまずきやすいポイントがいくつかあります。 事前に把握しておくだけで、スムーズに進められる可能性が高くなります。
特に多いのが次のような場面です。
農地法の申請区分を間違える
第3条・4条・5条の使い分けが分かりにくく、申請やり直しになるケースが多いです。
申請書類に不備がある
図面、登記情報、耕作証明などの添付漏れで審査が止まります。
買主が条件を満たしていない
農業者でない、必要面積を持たないなどで不許可になることも。
名義や境界の問題が放置されたまま
相続未登記や隣地との境界未確定がトラブルのもとになります。
農地売却では、確認不足が大きなロスや手戻りにつながるので要注意です。
5.2 農地売却の手続きをスムーズに進めるコツ
農地売却は、事前準備と情報整理がカギです。 手続きの流れを理解し、適切な順序で対応すれば、想定以上にスムーズに進めることも可能です。
売却を円滑に進めるためのコツをまとめました。
最初に農業委員会へ相談
地目や場所に応じた正しい手続きを案内してもらえます。
必要書類をリストアップしておく
登記簿、地図、同意書などを事前に揃えると、申請ミスを防げます。
買主の条件確認を徹底
農業従事者か、転用予定かなどで必要な手続きが変わります。
専門家に早めに相談
司法書士や不動産会社のサポートで、抜けや漏れを防止できます。
段取りよく動くことで、農地売却の流れを一気に効率化できます。
5.3 農地売却のよくあるQ&Aと専門家への相談のすすめ
農地売却を検討すると、多くの方が同じような疑問に直面します。 ここでは、よくある質問とその答え、そして専門家に相談すべき理由をまとめました。
よくあるQ&A
Q:農地は誰にでも売れるの?
A:原則として、農業従事者または農地転用の許可を得た人に限られます。
Q:転用しないと売れないの?
A:農地のままでも売却可能ですが、買主の条件が厳しくなります。
Q:手続きは自分でできる?
A:可能ですが、書類の量や内容が複雑なので専門家のサポートがおすすめです。
専門家に相談するメリット
法的なミスを防げる
手続きの流れを短縮できる
面倒な書類作成や申請を任せられる
不安や疑問があるなら、早めに専門家へ相談するのが一番確実です。
▶︎6. まとめ
農地売却は、宅地とは異なる専門的な手続きや制約が多く、流れを理解し、正しい順序で進めることが成功のカギです。 ここまでの内容を踏まえて、ポイントを整理しましょう。
農地売却の重要ポイント
売却方法は「農地のまま」か「転用して」かで大きく変わる
農地法の申請が必要。第3条・4条・5条の使い分けが重要
買主の条件や土地の場所(市街化区域・振興地域内)を確認
申請書類の準備、測量、登記などに時間と手間がかかる
費用や税金も事前に把握して、手取り額を予測する
農地売却は、事前準備と正確な情報収集が成功への近道です。
▶︎農地売却ならCiel Corporation株式会社にお任せください。
農地の法律や手続きは複雑ですが、専門スタッフが一つひとつ丁寧に対応します。初めての売却でも安心して任せられます。
Ciel Corporation株式会社の全国対応サービスで、スムーズな売却を実現しましょう。
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