農地売却の方法を徹底解説|スムーズに進めるポイントと注意点
- Ciel Corporation株式会社
- 5月26日
- 読了時間: 16分

▶︎1. 農地売却の基本知識

1.1 農地売却の概要と特徴
農地を売却するには、一般的な宅地の売却とは違う独自のルールがあります。特に注意が必要なのが、農地は農地法の規制を受けるという点です。売りたいからといってすぐに売却できるものではなく、いくつかの手続きと条件をクリアしなければなりません。
まず押さえておきたいのは、農地は「食料の安定供給」という国の政策に関わる重要な土地だということ。そのため、売却には行政の許可が必要になります。
たとえば、以下のような特徴があります。
農地は原則、農業を行う人にしか売れない
農地のまま売るか、宅地などに転用するかで手続きが変わる
農地法や都市計画法など、複数の法律が関係してくる
これらの特徴から、農地の売却は「ただ売るだけ」では済まないのが現実です。
こんな経験ありませんか?
「空き農地があるけど、どう手をつけていいかわからない…」 「昔からの農地を相続したけど、農業を続ける予定がない…」
このような悩みを抱えている人は意外と多いです。特に近年では、農業人口の減少に伴い、農地を手放したいと考える人が増えています。しかし、売却の流れを知らずに進めると、思った以上に時間や手間がかかってしまうことも。
以下のような失敗例もよくあります。
農地のまま売ろうとしても買い手が見つからない
転用許可の申請手続きを途中で断念してしまう
必要な書類が揃っておらず、手続きが止まってしまう
こういったトラブルを避けるためには、まず「農地売却の特徴」をしっかり理解しておくことが大切です。
農地売却は、制度や条件を知らないまま動くとスムーズに進みません。
1.2 農地法による制限と許可の必要性
農地を売却する際に、最も大きなハードルとなるのが農地法の制限です。この法律は、農地の乱開発や不適切な転用を防ぐために設けられています。そのため、売却には必ず行政の許可が必要となり、無許可での売却は原則できません。
農地法で特に重要なのが「第3条」と「第5条」の規定です。
農地法第3条:農地のまま売る場合
この条文は、農地を農地として他人に譲渡する際の許可について定めています。農業委員会の許可が必要であり、主に以下の条件を満たす必要があります。
買い手が農業を継続できる体制を持っている
農作業に実際に従事することが見込まれる
所有後も適切に農地を管理できる
つまり、「農地のまま売る」には、買い手も農家である必要があるということです。
農地法第5条:農地を宅地などに転用する場合
農地を住宅地や駐車場など、農地以外に転用して売却する場合は、第5条の許可が必要になります。さらに、この場合は農業委員会だけでなく、都道府県知事の許可も必要です。
この手続きには時間がかかることが多く、通常は1〜2ヶ月以上を見込んでおく必要があります。また、都市計画区域内では、さらに厳しい規制がかかることもあるため注意が必要です。
注意すべきポイントは?
農地法の手続きでは、以下のようなトラブルがよくあります。
書類の不備で許可が下りない
転用先が明確でないために申請が却下される
そもそも転用ができない区域だった
こうした問題を回避するには、あらかじめ役所や農業委員会に相談しておくことが効果的です。
農地法の理解が売却成功のカギを握ります。
▶︎2. 農地売却の方法と手順

2.1 農地のまま売却する場合の流れ
農地をそのままの状態で売却する場合は、「農地法第3条」に基づいて、買主が農業を継続することが前提となります。そのため、通常の不動産売買とは異なるステップが必要になります。
ここでは、農地を農地のまま売却する流れを順を追って解説します。
農地売却の基本的なステップ
農地の状態や権利関係の確認
まずは自分が売りたい農地が登記されているか、共有名義になっていないかを確認します。農地の種類(田、畑、樹園地など)もこの段階で把握しておきましょう。
買い手探し
買い手は原則として「農業を行う意思と能力がある人」に限られます。親族や地域の農家、農業法人などが対象になるケースが多く、不動産会社を通しても買い手が限られるのが現状です。
売買契約の仮締結(条件付き)
農業委員会の許可が下りる前に、条件付きの売買契約を結びます。つまり、「農地法第3条の許可が取れたら売買成立」という形です。
農業委員会に許可申請
市町村の農業委員会に売却許可を申請します。申請書には、売主と買主の情報、農地の利用計画、位置図や登記簿謄本などを添付します。
審査・許可の取得(1〜2ヶ月)
申請内容をもとに審査が行われ、農地法に適合していると判断されれば許可が下ります。この段階で不備があれば差し戻されることもあります。
売買契約の本締結・登記
許可が下りたら正式に契約を締結し、所有権移転登記を行います。これで売却が完了です。
農地をそのまま売るには、買い手の条件と行政手続きを正しく理解することが不可欠です。
2.2 農地転用後に売却する場合の流れ
農地を宅地や駐車場などに用途変更してから売却するケースは、買い手の幅が広がるという大きなメリットがあります。一般の方や企業にも売却できるため、売却のスピードや価格面で有利になることも多いです。
ただし、この方法には転用許可の取得という追加の手間と時間が発生します。失敗しないためには、手順を正しく踏むことが重要です。
転用してから売却する基本の流れ
用途の確認と計画立案
まずは売却先に合わせて、どんな用途に転用するのかを明確にします。住宅用地、事業用地、駐車場など、目的によって必要な許可や準備が変わってきます。
都市計画の確認
農地が都市計画区域にあるかどうかをチェックします。特に「市街化調整区域」にある場合は、原則として転用が認められないため要注意です。
農地転用の申請(農地法第5条)
農地を農地以外に転用するには、都道府県知事または農業委員会の許可が必要です。申請には、用途計画図や登記簿謄本、現況写真、位置図など多くの書類が必要です。
審査・許可の取得(1〜2ヶ月程度)
許可が下りるまでには時間がかかるため、余裕を持ってスケジュールを立てましょう。用途や区域によっては、それ以上かかることもあります。
造成・整地などの準備
宅地や駐車場として使える状態にするため、地盤の整備や整地が必要になることがあります。費用がかかることもあるので、事前に見積もっておきましょう。
売買契約・登記手続き
整備が終わったら、一般の不動産と同じ流れで売買契約を結び、登記を行って売却完了です。
農地を転用して売却するには、区域の確認と許可取得がカギになります。
2.3 農地の売却に必要な書類と手続き
農地の売却では、一般の土地取引よりも多くの書類や手続きが必要になります。特に農地法に基づく申請には、細かい情報の提出が求められ、不備があると何度も差し戻されてしまうことも。
準備不足が売却の遅れに直結するため、事前の準備がとても大切です。
主に必要となる書類一覧
農地を売却する際に必要な書類は、売却方法(農地のまま売るか、転用後に売るか)によって異なりますが、一般的に以下のような書類が求められます。
登記事項証明書(登記簿謄本)
所有者の情報や地目が正確に記載されたものが必要です。
土地の位置図・公図
農地の場所を明確に示す資料。市町村の窓口や法務局で取得できます。
土地の現況写真
農地の現在の利用状況を証明するために求められることがあります。
申請書(農地法第3条または第5条用)
売却方法に応じた専用の申請書類です。市町村役場や農業委員会の窓口で配布されています。
売買契約書(仮契約書)
農地法の許可前に仮契約を結ぶことが一般的です。許可後に正式な契約を締結します。
本人確認書類(身分証明書)
売主・買主ともに提出が必要になります。
印鑑証明書・実印
法的な契約を行うために必要です。
手続きの流れと注意点
農地の売却には、書類提出以外にもいくつかのステップがあります。
農業委員会または都道府県への申請
審査期間中の問い合わせ対応
許可取得後の正式契約
所有権移転登記の申請
特に、申請から許可が下りるまでに1〜2ヶ月以上かかることがあるため、スケジュールにはゆとりをもたせておくことが大切です。
書類と手続きを正しく進めることが、スムーズな農地売却につながります。
▶︎3. 農地売却の準備と進め方のコツ

3.1 売却前に確認すべきポイント
農地の売却を考え始めたら、まず取りかかるべきなのが事前の確認作業です。この準備がきちんとできていないと、売却そのものが進まなかったり、後々トラブルになることも。
「売りたい」と思ったときにすぐ売れるわけではないのが、農地売却の難しさです。
以下のポイントを事前に確認しておきましょう。
確認すべき主な項目
土地の登記状況
土地の名義が自分になっているか確認しましょう。相続登記が未了の場合は、まず相続手続きを済ませなければなりません。
地目の確認(登記上の用途)
地目が「田」や「畑」などのままだと、農地として扱われます。宅地などに転用したい場合は、後ほど地目変更も必要です。
固定資産税の未納がないか
税金が未納だと、登記移転がスムーズにいかないことがあります。納税証明書を確認しておきましょう。
農地の現況と利用状況
実際に耕作しているか、放置されているかなども確認ポイントです。草が生い茂っている場合などは、売却前に整備しておくと印象が良くなります。
農業委員会への相談
売却に関するアドバイスや申請に必要な書類、地元の状況などを教えてくれるため、まずは相談に行くのがおすすめです。
売却前のチェックを怠ると、手続きが長引いたり買い手に不信感を与えることになります。
3.2 土地の評価と査定をスムーズにする方法
農地の売却をスムーズに進めるためには、土地の評価と査定の準備がカギになります。農地は宅地に比べて価格が不安定になりやすく、場所や状態によって大きな差が出ます。
「いくらで売れるのか?」がわからないまま進めてしまうと、損をしてしまうことも。だからこそ、正しい査定の流れとポイントを知っておくことが大事です。
査定前にやっておきたい準備
以下のポイントを押さえておくと、評価がスムーズに進みやすくなります。
土地の正確な面積を把握する
登記簿に記載されている面積と、実測で異なることがあります。不動産会社に依頼する際は、登記事項証明書を準備しておくとスムーズです。
土地の形状や接道状況を確認する
農地が公道に接しているか、形が整っているかも価格に影響します。旗竿地など変則的な形状だと、価値が下がるケースもあります。
地盤や排水状態の確認
耕作放棄地や水はけの悪い土地は敬遠される傾向があります。簡単な整地や排水の改善で評価がアップすることも。
過去の利用履歴を整理しておく
肥料や農薬の使用履歴、作物の種類なども、農地としての魅力を伝える材料になります。
評価や査定は「情報の整理」と「土地の印象づくり」がポイントです。
見せ方ひとつで査定額は大きく変わります。自分で整備できる範囲は事前に対応しておくと、買い手にとっても魅力的に映りますよ。
3.3 農地の状態を整えるための具体的な対策
農地の売却において、土地の第一印象は価格や成約スピードに大きく影響します。買い手は現地を必ず確認しますが、そのときに「使いやすそう」「きれいに管理されている」と思ってもらえるかどうかが重要です。
荒れた状態の農地では、たとえ立地がよくても敬遠されることがあります。売却前にできるだけ整備しておくことが、結果として高く早く売れるコツです。
状態を整えるためにできる主な対策
草刈りや不要物の撤去
放置された農地は雑草が伸び放題になっていることが多く、買い手からの印象が悪くなります。まずは草刈りを行い、廃棄物や農機具などの不要物はすべて撤去しましょう。
排水路や水路の清掃
水はけの悪さは農地の価値を下げる要因のひとつです。排水路に泥がたまっていると、農業に支障が出ると判断されてしまいます。水路をきれいにしておくだけでも印象がよくなります。
境界の明示と測量
隣地との境界が不明瞭な農地はトラブルの元です。簡易的な境界標識を設置するか、必要に応じて測量を行っておくと安心です。
地面の平坦化(軽整地)
でこぼこしている土地は使いづらいため、必要に応じて軽く整地をすることで印象が良くなります。専門業者に依頼する場合でも、数万円〜で対応可能なことが多いです。
看板や案内表示の設置
売却予定であることを示す看板を設置するのも有効です。遠方から現地を見に来た買い手がスムーズに場所を確認できます。
農地を整えることは、売却成功への大きな一歩です。
▶︎4. 農地売却を成功させるポイント
4.1 買い手の探し方と交渉のコツ
農地を売却するうえで最大の課題は「買い手をどう見つけるか」です。宅地のように需要が多いわけではないため、買い手探しは戦略が必要です。
特に農地のまま売却する場合は、購入できる人が限られているため、見つけるまでに時間がかかることもあります。
主な買い手の候補
地元の農家や農業法人
すでに農業を行っている人が近隣で農地を探している場合、最もスムーズに売却が進みます。地域の農業委員会や農協に情報を伝えると、マッチングのチャンスが広がります。
農業を始めたい個人・新規就農者
最近では地方移住とともに農業を始める人も増えています。ただし、農地法の条件を満たす必要があるため、農業計画がしっかりしているかの確認が必要です。
不動産業者を通じた売却
農地に強い不動産会社であれば、既存のネットワークを使って買い手を探してくれます。ただし、農地に関する専門知識がある業者を選ぶことが重要です。
買い手を探す方法
農業委員会や農協に相談して紹介してもらう
地元の掲示板や回覧板で周知する
農地専門の不動産ポータルサイトに掲載する
不動産会社に査定依頼をし、媒介契約を結ぶ
最近では、インターネットを活用して遠方の買い手を見つけるケースも増えています。写真と情報を丁寧に掲載することで、問い合わせの数が変わります。
交渉を進めるうえでのポイント
価格設定は相場をふまえて柔軟に
農地は宅地より価格に幅があるため、強気すぎる価格設定はかえって買い手を遠ざけます。相場+土地の整備状況を基準にしましょう。
利用目的をしっかり聞き取る
農業に本気で取り組むのか、将来的に転用を考えているのかによって、売却後のトラブルを防ぐ手がかりになります。
書類や申請に関する協力姿勢を見せる
申請が複雑な農地売買では、売主の協力姿勢が信頼につながります。スムーズな対応は交渉成立の鍵です。
農地の売却交渉では、「買い手の立場に立つ」ことが成功の秘訣です。
4.2 農地売却前の準備とチェックリスト
農地をスムーズに売却するためには、事前の準備が不可欠です。必要な情報や書類をあらかじめそろえておくことで、手続きや交渉がスムーズに進みます。
チェックすべき準備リストはこちらです。
登記事項証明書を取得して名義を確認
地目が「田・畑」のままかどうかをチェック
所有者が複数いないか(共有名義の場合は全員の同意が必要)
農地の現況写真を撮影しておく
草刈りや整地など、土地の整備を済ませる
農業委員会に相談し、売却方法の確認を取る
不備があると申請が差し戻されたり、買い手に不信感を与える原因になります。
売却前に準備を整えるだけで、成約までのスピードがぐっと上がります。
4.3 専門家への相談の重要性
農地売却は法律や手続きが複雑なため、専門家の力を借りることで安心して進められます。特に農地法の知識が必要な場面では、自己判断によるミスが大きなリスクになります。
相談すべき主な専門家は以下の通りです。
不動産会社(農地取扱実績のある業者)
→ 相場査定・買い手探し・契約手続きのサポート
行政書士
→ 農地法申請書類の作成代行
土地家屋調査士・司法書士
→ 境界確認や登記手続きに関するサポート
税理士
→ 譲渡所得税や節税対策の相談先として有効
自己判断で動くと、申請ミスや手続き漏れが起こりがちです。
信頼できる専門家に早めに相談することで、安心かつ確実に売却を進められます。
▶︎5. 農地売却にかかる費用と税金対策
5.1 農地売却時にかかる主な費用
農地売却には、単に売るだけではなく複数の費用が発生します。売却後に「こんなにかかるとは思わなかった」とならないよう、事前に確認しておくことが大切です。
主な費用項目は次の通りです。
登記関連費用
所有権移転に伴う手続きで必要になります
測量や境界確認の費用
土地の境界が不明確な場合は測量が必要です
農地転用にかかる申請手数料や代行費
書類作成や申請の手間を専門家に依頼する場合に発生します
土地整備費(草刈り・整地など)
見栄えを良くして売却しやすくするための費用です
不動産会社への仲介手数料
買い手を探す際に仲介を依頼した場合に発生します
想定より手元に残る金額が少なくなることもあるため、事前の費用把握が重要です。
5.2 譲渡所得税の基本と節税のポイント
農地を売却すると、その利益に対して譲渡所得税がかかることがあります。特に相続や長期保有した土地の場合、税額が大きくなることもあるため、事前の対策が重要です。
基本的なポイントは以下の通りです。
譲渡所得=売却価格-取得費-諸経費
利益が出た場合に、その額に対して課税されます
保有期間によって税率が変わる
5年を超えると「長期譲渡」、5年以下は「短期譲渡」として扱われます
特別控除や軽減措置がある場合も
相続した農地や居住用転用後の売却などに適用されるケースがあります
確定申告が必要
売却翌年の申告で税額が確定します
専門家に相談することで、不要な課税や申告ミスを防ぐことができます。
5.3 売却後の資金活用について考える
農地を売却して得た資金は、将来のために有効に活用することが大切です。まとまった現金が手に入るからこそ、使い道をしっかり考えておくことで後悔のない選択ができます。
主な資金活用の選択肢はこちらです。
老後の生活資金や医療・介護への備え
生活の安定や不測の事態に備えるための貯蓄に
不動産の買い替え・住み替え費用に
農地を処分して、居住用の土地や住宅を取得するケースもあります
事業資金や新たな投資への活用
別の事業にチャレンジするための元手としても有効です
相続対策や家族への贈与準備
資金の分割や贈与を計画的に行うことで、税金面の対策にもなります
一時的な出費に使ってしまわず、将来を見据えた計画を立てることが大切です。
▶︎6. まとめ
農地売却は、宅地とは違い法律・手続き・買い手探しの3点がカギになります。スムーズな売却のためには、事前準備と専門家への相談が欠かせません。
押さえておきたいポイントをまとめます。
農地法の規制を理解し、許可申請を忘れずに
登記・地目・相続状況などを事前にチェック
整地・草刈りなど、土地の整備で印象アップ
買い手の条件確認と柔軟な価格設定が大切
費用・税金・資金活用まで視野に入れること
一つ一つの準備が、安心・安全な農地売却への近道になります。
▶︎農地売却ならCiel Corporation株式会社にお任せください。
農地の法律や手続きは複雑ですが、専門スタッフが一つひとつ丁寧に対応します。初めての売却でも安心して任せられます。
Ciel Corporation株式会社の全国対応サービスで、スムーズな売却を実現しましょう。
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